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「彗星の孤独」
寺尾紗穂さん(以下紗穂さん)を知ったのは、いつもぬり絵や色々お世話になっているゆくい堂で。確か昨年の夏頃だったと思う。 定期的に工房を使ってライヴをしているとのことで、その中に紗穂さんが居た。 写真から受けた印象は、透明…
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「おんなのことば」
先日立ち寄った本屋で絵表紙に惹かれ、茨木のり子の詩集を手を取った。 パラパラめくると、”みずうみ”という詩があった。 人間はだれでも心の底にしいんと静かな湖を持つべきなのだ 何かこの言葉がとても心…
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「東京物語」
会話の間に流れる やさしい時間。 笠智衆演じる周吉と妻とみのゆったりとした会話が好きだ。 言葉を交わすのにこんな温かな間が生まれること。それまで観てきた映画にない新鮮な気持ちだった。 印象に残っている作品を挙げていくと、…
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「キャロル」
この映画は2人の女優の美しさそのものだと思う。 誰かが誰かを好きになるのに理由はなくて、この世にあるとされる大事なものは大抵目に見えずらいし、言葉にしても溢れ落ちてしまってうまく測れない。 ケイトブランシェットは細やかな…
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「大人は判ってくれない」
原題は「LES QUATRE CENTS COUPS」 訳すと、400回の打撃。 この映画を観ながら思ったのは、大人というのはどの国でも同じなのだなあと。 両親の不仲や家のことを任されっぱなしで、行き場のない葛藤を外へぶ…
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「本の中の服」
映画を観るとき中でも目が行ってしまうのが服。 作品の良さにも大きく関わってくるものですが、この森茉莉シリーズは服に関してだけでも映画並みに描写されてます。 ディテールが細かすぎて寝落ちする程ですが(そこが良いんですけど)…
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「映画とセンス」
サッカーのブラジルW杯で引退した中田英寿選手。 ファッショニスタでもあった彼ですが、現役の頃いろんな語録というか格言を発していました。彼が19歳ぐらいの頃、面白い人が現れたなあと思ったものです。 そこからずーっとサッカー…
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「用の美に見えるもの」
用の美とは美術品や、観賞用の工藝品にはない、「暮らしの中で実用されるものの中に宿る美」のこと。民藝とも言い、一つの美学です。 私は10代の終わり頃、ファッション通信という大内順子さんが出ている番組を毎週楽しみにしていまし…
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「恋する惑星」
この映画を初めて観たのは、確か二十歳の時。 今から何と26年も前になる。 名古屋駅に近い、小さな映画館に連れて行ってもらったのだが、その時は内容をはっきり覚えていなかった。 映像に映った金城武がイケメンということ、日本語…
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「ストーリーオブマイライフ」
「女性の幸せって結婚の他にあっていいと思うの」 若草物語の中でおてんばな次女ジョーはこう言った。 私もほんとにそう思う。 昔のアメリカ社会が今よりもずっともっと格差があったことは、風と共に去りぬを20代の頃読んで知った。…