「私はロランス」
気が付いたら映画が好きだった。
今までどれだけ観たのだろう。
何も知らなかった頃に観た作品は心の深くに染み入っていて、自分を作る材料の一つにさえなっているように思う。
すっかり大人になった今もなお、どんな作品に出会えるだろうかと、プライムやネットフリックスをウロウロしている。
この「私はロランス」という作品は、いい大人になった私の心に真っ直ぐに突き刺さってきた。
この作品のどこが好きか。
ストーリーにも心を打たれたがそれ以上に、映像の美しさに私は吸い込まれた。
グザヴィエ・ドランという人が若干19歳で監督になったことも衝撃だが、そんな二次的情報はどうでもいいほど、彼の映像は私を魅了した。
映画や写真というのは、レンズを覗く人の心の有り様まで映し出す。
グザヴィエ・ドランの映し出す映像に、彼の心模様を観たように思う。