「彗星の孤独」
寺尾紗穂さん(以下紗穂さん)を知ったのは、いつもぬり絵や色々お世話になっているゆくい堂で。確か昨年の夏頃だったと思う。
定期的に工房を使ってライヴをしているとのことで、その中に紗穂さんが居た。
写真から受けた印象は、透明感があってキレイな人だなあと。インディーズやそれに近い活動をしている人が持つ独特な存在感。
そこからしばらく経って、ふと何かの記事で娘さんが3人いると知った。しかも離婚して現在はシングルだというではないか。
私も10年前になるが離婚を経験している。聞かれない限り自分からは特に言わないけど ..
何かを表現する同じ女性として彼女に強い関心を抱いた私は、ゆくい堂の横にあるrouteboksへ紗穂さんの著書を買いに行った。その時買ったのがこの「彗星の孤独」
本とコーヒーを手にしてカフェの2階へ上がり、何故かあとがきから読み始めた。
自身の父との関係、父の死について、そしてその後は紗穂さんと親しい方の死について書かれていた。
今、私は紗穂さんと時々messengerでやり取りをしている。
私が思う紗穂さんという人は一人の人間をどこまでも見つめられる人。そして多くの表現者が抱えるような使命のようなものを歌や文章でこの世界に落とす人。
紗穂さんが先日チャットでこう言った。
「人間はやはり孤独なんだと思います。人生はそれを紛らわしながら、喜びを見つけながら、ですね」
本当そうだな、と思った。
人生ケ・セラセラだ。
私もこれまで孤独とは離れられない関係なのだなと思って生きてきて、いくら人が周りに居ても拭いようのないそれは常にあった。
いつだったか覚えてないけど、こんな歌詞を見た。
私はいつも孤独と一緒に寝ていたから
孤独はまるで私の恋人だった
世界中どこへ行くにも私の後につきまとってきた
そう、私は孤独と一緒だから決して一人ぼっちではない
ジュルジュ・ムスタキ「私の孤独」
10年ぐらい前からフランス語を学び始めた私は、(人生に起こるあらゆることを風刺か歌か詩にしてしまうフランスで暮らしたい。日本にいちゃいけない、、)とまで思うようになっていた。
紗穂さんのお父様がフランス映画の翻訳者でかつ過去にはミュージシャンだったことも、この本を通して知った。私の好きな気狂いピエロの新訳を手掛けたのも紗穂さんのお父様。
私は孤独は悲しいこととは思わない。
竹内まりやは「幸せのものさし」という曲で(自由と孤独は2つでセット)とも歌っている。
しかし、意図せず孤独に押し潰されてしまうこと、孤独ということに自分も周りも気付かないことが今の日本で起こっている。
人間そんなに強くない。
私も元々弱虫だし、仕方なく社会のルールに合わせて頑張ってるうちにカメレオンのように組織体(諦めとも言う)に変身する術が身に付いた。それはもちろん本当の自分ではないけれど..
この本と紗穂さんとのやり取りを通じて、私と孤独、私と両親との関係が前よりもなだらかになったように思う。
もし私のように自分と孤独の関係をよくしたい方がいらっしゃたら、一度この本を手に取ってみてください。
人生、ケ・セラセラ。