映画

「東京物語」

会話の間に流れる やさしい時間。

笠智衆演じる周吉と妻とみのゆったりとした会話が好きだ。

言葉を交わすのにこんな温かな間が生まれること。それまで観てきた映画にない新鮮な気持ちだった。

印象に残っている作品を挙げていくと、どこかしらとげがチクッと刺さったままのものが多いように思う。

これは東京で暮らす子供たちを笠智衆演じる周吉ととみが訪ねていくのだけど、長女が年老いた親を持て余してブツブツ言うところなど、今の私は周吉にも長女にもなれそうである。

周吉は、東京で子ども達に構ってもらえず悲しむとみにこう言う。

「それでも私達はいい方だよ」と。

そして原節子演じる次男の嫁、紀子の優しさが全てを包む。

映画の中では説明は不要と私は思っているのだけど、この作品もただ小津安二郎の静寂に浸って欲しい。

share