「東京物語」
会話の間に流れる 時間。
笠智衆演じる周吉と妻とみのゆったりとした会話。
言葉を交わすのにこんな温かな間が生まれるのかと、それまで観てきた映画にない新鮮な気持ち。
印象に残る作品を挙げていくと、どこかしらとげがチクッと刺さったままのものが多い。
この作品は、東京で暮らす子供たちを笠智衆演じる周吉ととみが訪ねていく。のだけど、長女は年老いた親を持て余してブツブツ文句を言う。今の私なら周吉にも文句を言う長女にもなれそうだ。
周吉が、東京で子ども達に構ってもらえず悲しむとみにこう言う。
「それでも私達はいい方だよ」
「それでも私達はいい方だよ」これって、とても日本人の根幹を突いてるセリフだ。どんな災害に見舞われようと、政治が腐敗し生活苦を強いられても、それでも「私達はいい方だよ」と、泥の中に何とか光を見つけようとあがくのが我々日本人の強さであり弱さだ。
映画の中で説明は不要と私は思っている。この作品も、小津安二郎の静寂に浸ればいいだけなのだろう。


