「老人と海」
勇気をもらえる本というのは、ぞれぞれの価値観や好みで様々なものがあると思う。
この老人と海は、タイトルにあるように老人が海に出て自分の意思(実際の相手は魚だけど)と格闘する物語だ。
タイトルは昔から知っていたが読んだのは最近のこと。
私はこのおじいさんと自分を置き換えながらゆっくり読み進めた。
そしてこのおじいさんの折れない強さ、自分を信じる気持ち、諦めない意思に触れるうち、到底自分にはこんなことは出来ないと身の程を知った。
私は基本的に弱虫でセンシティブ人間でもある。体や身の回りが不快だと相当ストレスを感じてしまうタイプ。
そんなヘタレが大海原で巨大マグロと三日三晩格闘するなど、本だから故に想像に遊ぶことが許されるというものである。サンチャゴ爺さんすまん。
幾度も私はサンチャゴが自分に投げかける言葉に心を揺さぶられた。人は、いやわたしは、簡単に物事を諦めてはいないか?本気で何かを掴もうとしたことが今までにあったか?
挫けそうな時、目標を諦めそうになる時、目の前に高い壁を感じた時。この150ページ程の本はきっと勇気を与えてくれるはずだ。
この老人の孤高さ、それを慕う小さな少年、2人の間にある温かな絆がこの物語をシフォンのように包み込んでいる、わたしはそんな気がした。