
宇宙と闇
昨日、Billboard Live tokyoで寺尾紗穂さんのLIVEがあった。
初めて聴いた2022.2tokyo bikeのLIVEでは終始号泣していた。
理由などわかるはずもなく、ただ涙が止まらず。
涙腺があれほどまでに崩壊したのは子どもの頃以来。
そして昨日、またも、わたしの涙腺はおかしくなってしまった。
両隣に人がいたのでこみ上げる嗚咽をハンカチで抑えるも、ムリ、ムリだった。
右隣にいた中年らしき男性もわたしに釣られて泣いていた、気がする。もらい泣きさせたかも知れない。
すばらしい時間。
すばらしいステージ。
Billboardのスタッフのホスピタリティにも感動した。
LIVEのあいだ、わたしは生まれる前の世界にいた。
それは地球ではない場所。宇宙なのかはたまた別のどこかなのか、わたしは自分が地上にいる気がしなかった。
生まれる前、何一つ知らない、何も経験してない、誰も疑ったことのない、肉体さえ持たない自分。
母親の体に一つの細胞となって宿る前の自分。
もしかするとそれ以前かもしれない。
寺尾さんの歌は、この地上で身に付けたものや理性を無効にする。
それは不安とは程遠い、ただ浮かべばいい宇宙。
涙が止まらなかった。
見えないものが、愛しかった。
ステージはマヒトゥ・ザ・ピーポーとの共演。
わたしは彼の(あの音が溶けていく)ギターが好きだ。
寺尾さんを通して知って以来、想いを言葉に出来る才能、社会に発するメッセージに耳を傾けずにいられない存在となっている。が、わたしは元々そういう存在は居なかった。盲目的に何かを信じるということはこれからもないけど、彼を知ることができて、良かった。
今にもおかしくなってしまいそうなこの世界にも、信じられるものがあるんだとわたしは寺尾さんに教わった。
自分の中にあった闇が、少しずつ白味を帯びてきている。
夜明け前の、最も暗くなった地平線のように。

世間では、もしかするとわたしの言っていることはおかしいのかもしれない。
見えないものや自分が理解できないもの、経験したことのないものに、人は心のシャッターを下ろしてしまう。
だからこういう抽象的で感覚的なことは人に伝えるためというより、自分の存在を改めて確かめるために書いている。
それにひょっとしたらどこかの誰かに届くかもしれない。
寺尾さんの歌は大人のフリをする自分を無効にする。
マヒトさんの音楽は宇宙から地球を見せてくれる。
これはギフトなのかも知れないと思った。
宇宙にまたたく星みたいに。


