毛七 ブログ クボメグミ

What’s 毛七?

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毛七とはウールが7割、3割がナイロンやポリエステルなどで組成された混紡素材で、リサイクルウールとも言われている繊維。毛が7割なので「毛七」と言われている。織られているのは愛知県一宮市を中心に、岐阜県西濃エリアまで広がる尾州地区。尾州は国内で毛織物の8割を担う日本最大の毛織物産地。

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写真提供:毛七

わたしが毛七という生地を知ったのはごく最近。

アパレルに居るからと言ってもちろん何でも知っているはずもなく未だ謎で溢れかえっている。職種や会社が変われば全てが変わるというぐらい、服への価値観も、働く人の価値観も全く異なる。色んなブランドで仕事をしてみてそれが最も肌で感じたことかもしれない。

ある日、生地を購入しにいつも立ち寄る布屋を訪れた。ウールの反物をいろいろ物色しているとその多くにリサイクルウールという紙札がつけられている。(リサイクルウール?ということはリサイクルされたウールってことだよね。これに決定でしょう・・・)と即決スイッチが入り必要分をカットしてもらい、そしてリサイクルウールについて調べ始めた。そうして浮上してきたのが、前出の毛七だった。

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毛七と調べていて行き当たった毛七のHPがとても洗練されており、良い意味で想定外。既にリサイクルウールのブランディング化を為し得ている印象。そのHPは今回写真でご協力頂いた毛七さんだ。

what’s ファッション

アパレルに居たことも影響しているのか、ここ数年サステナブルやエシカルという言葉ばかり先行しがちな状況にわたしは正直ウンザリしていた。本来ファッションが持つべき力を多くの企業は置き去りにしたままだからだ。服で夢を魅せるという人間だけが持つであろう尊い感覚を潰し続けている。

ファッションが持つ力とは、身に付けた時のトキメキや高揚感、デザインそのものに夢を見られるというある種の非日常感だ。鏡の前に立ち、少しの驚きと共に鳥肌が立つようなあのドキドキした気持ち。無意識に自分の中へと浸透してきて、気付いたら体の一部になっているようなものだ。

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What's 毛七?

多くの人がファストファッションに身を包むことが当たり前となった今、それらは一瞬の麻薬にさえなれないままに捨てられる。生まれては消え消えては生まれる泡のように、地球レベルで環境を汚染しながら・・・

2000年以降、ファッションというものが(均一化したただのモノ)になってしまったのなら、わたしはそれに背を向けたい。SNSや雑誌が取り上げるような今の雰囲気だけで何かを欲することはとても虚しい。と同時に、今あるものを否定し否定した上で自分なりのスタイルを纏うことが本来のファッションではなかっただろうか。

前置きが長くなってしまったので、毛七の生地がどのようにして出来上がるのかを以下にまとめます。

毛七が織られるまで

全国から集められる廃棄されたウール製品のうち、多くがユニクロのものだそう。本来ウールは高級なものだがファストファッションの台頭で安価で買えるようになった。

その結果、不要とされたウール製品は各地から尾州に集められ、一つ一つボタンや付属品を外され選別され人の手作業に委ねられる。途方もない手間と時間を要するのは想像に容易い。

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廃棄された羊毛繊維を集める

<ゴミではなく原料>着古したセーターや、裁断くず、落ちわたなど、廃棄される羊毛繊維が全国各地から集められる。集めた原料は一つ一つ人の手によって仕分けられ、羊毛混率の高い糸を作る為に繊維を選り分け、色を整えることで染めなくても使用できる環境負荷の少ない糸を作ることができる。

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② 反毛機でワタに戻す

反毛機とは、糸や生地をほぐしわた状にする機械で19世紀に発明されたもの。反毛されたわたは繊維が短い為、少量の化学繊維をブレンドする事により、強度がありかつ風合いの良い糸を紡ぐ事が出きる。この黄金比により蘇った羊毛を「毛七(毛70%)」と呼ぶ。

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③ 毛七を織る

世界有数の毛織物産地でもある尾州。毛七は尾州産地の旧式の織機を使い、熟練の職人が丁寧に生地を織る。柄師と呼ばれる生地の設計者は、様々な織り組織、規格を使い分ける事で生地の厚みを調整したりチェックやストライプ柄等の多種多様な生地を作り上げる。

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以上、ざっとになりますが毛七さんの生地が出来上がるまでの工程。

上記以外にもここでは拾い切れない細かな手間隙がたくさんたくさんあると思う。素直に感謝の念と、頭が上がらない気持ちが止まない。わたしのような一個人では到底及ばないことを、毛七さんのような一企業が取り組んでくれていることは目に見えない心の救いだ。

わたしが今やりたいのは、既にあるものを生かすこと。

たった一個人の想いと行動で出来ることなんて知れているがそんなのは大したことじゃない。簡単に言うと自分の中で何がかっこよく何がダサいことなのか、その声に従うだけ。

今、世界はあらゆるもので溢れかえってる。

日々画面の向こうから一方的にもたらされる一見新鮮に見えるものは、果たして自分にとって本当に魅力的なものなのだろうか。

新しいことの賞味期限は短い。

何かの拍子にピョーンとそのループから飛び出すことができたら、びっくりする程身軽な自分になれている気がしないだろうか。

▽ 毛七でつくったもの ▽

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